第25代総長 松本 紘
木々の緑も眩しい季節となりました。本日の「低炭素ナノデバイス創製ハブ拠点」の開所式にあたり、多くの皆様方にご臨席賜りましたこと大変嬉しく思います。東日本大震災の対応などで大変お忙しい中ご出席いただきました、文部科学省 研究振興局基盤研究課長 柿田恭良様をはじめとして、ご来賓の皆様、学内外のご関係の皆様に京都大学を代表して心よりのお礼を申し上げます。
本ハブ拠点は、平成21年度の文部科学省の补正予算により、「成长戦略への布石」であるとして「环境?エネルギー技术への挑戦」の一环として构想された「低炭素社会构筑に向けた研究基盘ネットワークの整备」事业において、材料创製を担う物质?材料研究机构の「低炭素化材料设计?创製ハブ拠点」、ならびに评価?计测を担う东京大学の「环境材料?先端ナノ计测ハブ拠点」とともに、微细加工?试作を担う拠点として整备されたものです。
本ハブ拠点の整备の过程においては、建物の建设をはじめとし、设置すべき装置の短期间での调达などに関して、本学の教员をはじめとして、施设部、产官学连携本部、工学研究科の职员の皆様には、今日の开所にいたるまで、种々ご尽力いただきました。ここに皆様のご苦労を大いにねぎらいたいと思います。
さて、低炭素社会を実現するためには、エネルギーを?創る?「蓄える」「使う」「戻す」という4つの領域での画期的な技術革新が求められます。 3月11日の震災以来、エネルギー問題は創るのみならず、使う、さらに戻すということが大変重要で、その中で、大学の果たすべき役割の重要性はますます大きくなっています。
本拠点は、次世代のナノテクノロジー、ナノ材料?ナノマイクロデバイス?ナノマイクロシステムの研究開発において 必須の多種多様な基板?薄膜材料をウェハレベルで加工?評価することができるナノマイクロファブリケーション試作ラインを整備しました。 そして、この拠点は全国のナノテクノロジー材料およびデバイスの研究者に広く開かれたシステムとして運用されます。 加えて本拠点は、国内の研究者の高度な基礎研究と応用研究を支援するため、平成22年度に設置した学際融合教育研究推進センターに所属する、 新たな人事制度によって雇用された、高度専門技術職員(中間職)により運営されるという特色を持っています。また、 拠点を利用する研究者が相互に研究内容?技術について活発に交流することができ、 さらなる研究課題の設定や新たな基礎?応用研究を創出できるようアンダーワンルーフ型の研究交流環境も提供します。
本拠点が日本のナノテクノロジー研究者の研究を飛躍的に加速させ、日本の学術研究?産業の優位性を確保するとともに 、人材以外に資源の乏しい日本が節約の心で磨き上げてきた省資源をもたらすナノテクノロジーの更なる技術革新によって、 人類の生存を脅かす資源をめぐる紛争を軽減し、人類のサバイバビリティーに寄与できることを期待しています。
本日、大いなる期待を胸に参加された方も多いと思います。是非、基础研究から応用研究の推进、さらには効果的な技术移転により产学连携を一层加速化するために、个々の研究室では购い难い、本ハブの先进装置群を大いに活用いただきたいと思います。
この施设が、日本の低炭素化に大いに贡献するとともに、ナノテクノロジーの研究开発から技术移転まで、一层の飞跃を図る拠点となることを祈念して、私の挨拶とさせていただきます。