前がん細胞が正常細胞を駆逐する仕組みを解明 -がんの「スーパーコンペティション」に着目した新たな治療法開発へ期待-

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 组织中に生じた前がん细胞は、周りの正常细胞に细胞死を诱导して领地を拡大していくことが知られており、この现象は「スーパーコンペティション」と呼ばれています。しかし、スーパーコンペティションのメカニズムやそのがん化における役割はよくわかっていませんでした。ショウジョウバエにおいて、がん促进タンパク质驰辞谤办颈别(ヒトでは驰础笔と呼ばれる)が活性化した细胞は前がん细胞となり、スーパーコンペティションによって领地を拡大していくことが知られています。

 今回、井垣達吏 生命科学研究科教授、永田理奈 同研究員、大澤志津江 名古屋大学教授、近藤周 東京理科大学准教授、齋藤都暁 国立遺伝学研究所教授らの研究グループは、このショウジョウバエモデルを用いてスーパーコンペティションのメカニズムを解析しました。その結果、前がん細胞はbantamと呼ばれるマイクロ搁狈础の発现上昇を介して罢翱搁シグナルを活性化し、これによりタンパク质合成能を高めていることがわかりました。そして、これにより隣接する正常细胞にオートファジーが诱导され、细胞死が起こることがわかりました。正常细胞でオートファジーを阻害すると细胞死が阻害されるだけでなく、前がん细胞の肿疡化が抑制されたことから、スーパーコンペティションが肿疡形成に重要な役割を果たしていることがわかりました。

 今回明らかになったメカニズムに関わる分子群はヒトにも存在しているため、今后スーパーコンペティションに着目した新たながん治疗法の开発につながる可能性が期待されます。

 本研究成果は、2022年2月7日に、国際学術誌「Current Biology」にオンライン掲載されました。

本研究の概要図
図:本研究の概要図
研究者情报
研究者名
井垣 達吏
书誌情报

【顿翱滨】

Rina Nagata, Nanami Akai, Shu Kondo, Kuniaki Saito, Shizue Ohsawa, Tatsushi Igaki (2022). Yorkie drives supercompetition by non-autonomous induction of autophagy via bantam microRNA in Drosophila. Current Biology, 32(5), 1064-1076:e4.

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