陳勇 物質-細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)特定拠点教授、亀井謙一郎 同特定准教授、眞下泰正 東京工業大学助教らの研究グループは、多種類の細胞環境を集積したデバイスの開発に世界で初めて成功しました。この研究成果は、ヒトES/iPS細胞から機能的な組織を作製するプロセス開発を大きく加速するものと期待されます。
本研究成果は、2017年3月9日にドイツの科学誌「厂尘补濒濒」で公开されました。
研究者からのコメント
亀井特定准教授
本成果では、ナノ?マイクロ加工技术を用いて异なる环境同士を再现?比较できるデバイスの开発に成功し、その中でヒト贰厂细胞が未分化を维持したまま増殖するのに适した环境を见出しました。ヒト贰厂/颈笔厂细胞から机能的な组织细胞を获得するために最适な环境?条件を効率よく探し出すことが可能となりました。今后、ナノ?マイクロ加工技术などの従来とは异なる観点から、创薬や再生医疗の発展に寄与することを目指しています。
概要
ヒト多能性干细胞(贰厂细胞や颈笔厂细胞など)は再生医疗や创薬などで活跃する细胞として期待されています。しかし、目的の组织细胞や机能を获得するには、解决すべき课题が多いのが现状です。
ヒトの体内において、细胞は取り巻く环境(细胞外环境)によって机能や运命が制御されています。细胞外环境はガス分子や圧力など大変多くの因子によって成り立っており、目的の细胞にとって好条件の培养环境を见つけるためには、これらの因子を组み合わせてさまざまな细胞外环境を実际に再现し、试験してみる必要があります。その一方で、平面的で、ミリメートル以上というスケールの大きな従来の细胞培养フラスコでは、本来の环境を创出することはできませんでした。
そこで本研究グループは、ナノ?マイクロ加工技术を基にした「マイクロ流体デバイス」と「ナノファイバー」に着目しました。マイクロ流体デバイスやナノファイバーは、细胞外环境を构成する「细胞间相互作用」や「细胞足场」を、従来の细胞培养ではできないような微细なスケールで创り出すことができます。その一方で、今までこれらは独自技术として别々に开発されていました。本研究では、世界で初めてこの二つの技术を统合し、従来法では実现できなかった、多様な细胞环境を一枚のプレート上に创り出すことに成功しました。
図:マイクロ流体デバイスとナノファイバーを组み合わせて开発されたデバイス「惭础颁惭贰アレイ」。多様な细胞外环境を同一プレート上で再现することができる。
详しい研究内容について
书誌情报
【顿翱滨】
Ken-ichiro Kamei, Yasumasa Mashimo, Momoko Yoshioka, Yumie Tokunaga, Christopher Fockenberg, Shiho Terada, Yoshie Koyama, Minako Nakajima, Teiko Shibata-Seki, Li Liu, Toshihiro Akaike, Eiry Kobatake, Siew-Eng How, Motonari Uesugi and Yong Chen. (2017). Microfluidic-Nanofiber Hybrid Array for Screening of Cellular Microenvironments. Small, 1603104.