中村美知夫 理学研究科准教授らの研究グループは、野生チンパンジーがヒョウの獲物を手に入れて食べるところを世界で初めて観察しました。さらに、本調査地(タンザニア、マハレ山塊国立公園)のチンパンジーがこれまでに動物の屍体と遭遇した事例をまとめた結果、屍肉を食べるのに重要な条件は「新鮮さ」と「食べ慣れた動物であること」で、「ヒョウが近くにいそうかどうか」は影響していない可能性が示唆されました。
これまで、人类(=チンパンジーと分かれた后の直立二足するヒト科の系统)が协力や言语を进化させる上で、肉食獣から获物を横取りする「対峙的尸肉食」が重要であったと考えられてきました。ヒト(=ホモ?サピエンス一种のみ)と最も近縁なチンパンジーはそうしたことをする証拠がなかったからです。しかし、本研究から、チンパンジーが、状况によってはヒョウから获物を横取りしうる可能性が示されました。この场合、対峙的尸肉食の起源はこれまで考えられていた以上に古く、人类の系统より前にまで遡ることになります。
本研究成果は、2019年4月16日に、国際学術誌「Journal of Human Evolution」のオンライン版に掲載されました。

図:手に入れた获物を食べるチンパンジー
详しい研究内容について
书誌情报
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Michio Nakamura, Kazuhiko Hosaka, Noriko Itoh, Takuya Matsumoto, Takahisa Matsusaka, Nobuko Nakazawa, Hitonaru Nishie, Tetsuya Sakamaki, Masaki Shimada, Yukio Takahata, Masahiro Yamagami, Koichiro Zamma (2019). Wild chimpanzees deprived a leopard of its kill: Implications for the origin of hominin confrontational scavenging. Journal of Human Evolution, 131, 129-138.
- 日刊工業新聞(4月19日 29面)、日本経済新聞(4月17 36面)、毎日新聞(4月27日 23面)および読売新聞(4月28日 30面)に掲載されました。