长谷川健 化学研究所 教授、 羽馬哲也 北海道大学助教 らの研究グループは、植物の叶の表面を覆う脂质膜である「クチクラ」の分子の构造を解明することに成功しました。
クチクラは、雨や乾燥などの様々な环境ストレスに対して防御の役割を果たす非常に多机能な薄膜です。これまで、クチクラを构成する分子の种类(炭化水素のワックス、クチンと呼ばれるポリエステル、多糖类など)の同定に関する研究は进んできましたが、叶の表面における分子の并び方(分子配列)や分子の向き(分子配向)についてはわかっておらず、クチクラが持つ机能の本质を理解するには至っていませんでした。
本研究では偏光変调赤外反射吸収分光法を用いることで、ヤセイカンランの叶のクチクラを前処理(溶媒による抽出など)することなくそのままの状态で非破壊分析し、ワックス、クチン、多糖类の配列?配向を分子の官能基レベルで明らかにすることに世界で初めて成功しました。また、これまでのクチクラの构造モデルでは「クチクラの外部(表面近傍)には多糖类は存在しない」と考えられてきましたが、本研究によって「クチクラの外部に多糖类(ヘミセルロース)が存在する」ことが明らかとなりました。
本研究成果は、これまでのクチクラの构造の常识を覆し、クチクラの构造モデルを大きく改善するものです。これにより、クチクラの机能の起源に迫るとともに、环境ストレスや病原菌や害虫に対する耐性を持つ植物への品种改良、生体模倣材料の设计?开発にもつながることが期待されます。
本研究成果は、2019年4月24日に、国際学術誌「Plant and Cell Physiology」のオンライン版に掲載されました。

図:クチクラの构造。(左)従来のモデル。(右)ヤセイカンランのクチクラの构造。
详しい研究内容について
书誌情报
【顿翱滨】
Tetsuya Hama, Kousuke Seki, Atsuki Ishibashi, Ayane Miyazaki, Akira Kouchi, Naoki Watanabe, Takafumi Shimoaka, Takeshi Hasegawa (2019). Probing the Molecular Structure and Orientation of the Leaf Surface of Brassica oleracea L. by Polarization Modulation-Infrared Reflection-Absorption Spectroscopy. Plant and Cell Physiology, 60(7), 1567-1580.