西村いくこ 名誉教授(甲南大学特別客員教授)、島田貴士 千叶大学 助教らの研究グループは、シロイヌナズナの葉に発見したステロールエステル(Sterol Ester)を集積する細胞小器官(オルガネラ)を「SEボディ」と命名し、また大量のSEボディを発達させる変異体( hise1 と命名)と変异の原因となる因子贬颈厂贰1の解析から、生育不全を招く「ステロール过剰集积」を防ぐ植物の精緻な技を明らかにしました。
贬颈厂贰1は、ステロール合成経路の键となる贬惭骋-颁辞础还元酵素の量を适正に调节することで、ステロールの生成量を抑制します。しかし、ステロール量が过剰になった场合は、ステロールを无毒なステロールエステルに変换して、厂贰ボディに集积?隔离します。植物は、この二段阶のフェイルセーフ?システムにより、ステロール量の恒常性を安全に维持していることがわかりました。
本研究で明らかになった植物のステロール恒常性制御の技は、动物のステロール量の制御系分野の研究にも新たなブレークスルーをもたらす可能性があります。また、作物へ贬颈厂贰1変异を导入することにより、ステロールエステルのみならず、同様の経路で合成される天然ゴムやグリチルリチンなどの様々な有用二次代谢产物の増产へも期待されます。
本研究成果は、2019年11月12日に、国際学術誌「Nature Plants」のオンライン版に掲載されました。
図:本研究の概要図
详しい研究内容について
书誌情报
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Takashi L. Shimada, Tomoo Shimada, Yozo Okazaki, Yasuhiro Higashi, Kazuki Saito, Keiko Kuwata, Kaori Oyama, Misako Kato, Haruko Ueda, Akihiko Nakano, Takashi Ueda, Yoshitaka Takano and Ikuko Hara-Nishimura (2019). HIGH STEROL ESTER 1 is a key factor in plant sterol homeostasis. Nature Plants, 5(11), 1154–1166.