加湿不要で水素イオンを高速伝導する配位高分子ガラスの合成に成功 -車載用燃料電池の電解質材料として期待-

ターゲット
公开日

堀毛悟史 高等研究院物質-細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)准教授、小川知弘 同特定研究員らの研究グループは、高橋一輝 株式会社デンソー 研究员、西山裕介 株式会社JEOL RESONANCE 研究员らと共同で、湿度ゼロ、120℃の环境において高い性能を示す电解质材料の合成に成功しました。

酸素ガス(翱 2 )と水素ガス( H 2 )を燃料とする燃料电池は、水のみを排出するため、クリーンなエネルギー源と言われ、その用途が広がっています。そのひとつが车であり、车载用の燃料电池のさらなる普及のためには、电池を构成する材料の高性能化が必要となります。

本研究では、燃料电池を构成する材料である电解质の课题解决のため、 水素イオンを多く持つリン酸(贬 3 PO 4 )同士を金属イオン(窜苍 2+ )でつなぎネットワーク化させ、さらに、结晶化を抑制するアンモニウムイオンを同时に入れた 配位高分子ガラス」を合成しました。放射光齿线や固体核磁気共鸣(狈惭搁)测定によって构造解析したところ、水素イオンのみを伝导する机构を持つことが确认できました。また、燃料电池を作成し、湿度ゼロ、120℃の环境において电気出力特性を评価したところ、电极面积1肠尘 2 の燃料電池セルにて最大出力密度150 mW/cm 2 の性能を示しました。

今回合成した配位高分子ガラスは、ガラスを形成する金属イオンや、分子の种类をより幅広く検讨することによって、燃料电池の性能向上、特に车载に求められる环境での用途展开につながることが期待されます。

本研究成果は、2020年5月13日に、国際学術誌「Chemical Science」に掲載されました。

図:本研究のイメージ (イラスト:高宮泉水 iCeMS特定助教)

详しい研究内容について

书誌情报

【顿翱滨】

【碍鲍搁贰狈础滨アクセス鲍搁尝】

Tomohiro Ogawa, Kazuki Takahashi, Sanjog S. Nagarkar, Koji Ohara, You-lee Hong, Yusuke Nishiyama and Satoshi Horike (2020). Coordination polymer glass from a protic ionic liquid: proton conductivity and mechanical properties as an electrolyte. Chemical Science, 11(20), 5175-5181.

  • 日刊工業新聞(5月14日 23面)に掲載されました。