中山凌 理学研究科博士課程学生(現:青森県産業技術センター研究員)および中野智之 フィールド科学教育研究センター准教授らは、動物体表性カサガイ類の1種であるコモレビコガモガイについて、浮遊幼生の着底が主要な宿主である巻貝ヒメクボガイの粘液に誘引されることを解明しました。この発見は、本種が浮遊幼生の段階で適した宿主を認識している事を示唆しており、海産無脊椎動物における浮遊幼生の着底メカニズムおよび動物体表性という特殊な生態がもつ適応的意義の理解だけでなく、海洋生態系における共生関係の進化についての重要な知見であるといえます。
本研究成果は、2025年7月29日に、国際学術誌「Venus (Journal of the Malacological Society of Japan)」に掲載されました。

「この研究を実施するにあたって、これまでに挑戦したことのなかった本种の人工授精法の确立からスタートしました。初めて幼生が着底?変态して稚贝の成长が确认できたときの喜びはひとしおでした。」(中山凌)
「共生系の进化は、完全な1対1の共生関係が构筑される前は、おそらくコモレビコガモガイのように好みのホストがあったり、ホストを见つけられなければ岩场で生活する等、ゆるい共生関係から始まるように思います。その后、ホスト以外の场所で生活している个体群の生存率が捕食圧等でぐんと下がれば、一気に强固な共生関係に移行するのではと、いろいろ妄想できる研究结果でした!」(中野智之)
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【书誌情报】
Ryo Nakayama, Tomoyuki Nakano (2025). Selective Settlement of the Planktonic Larvae of the Epizoic Limpet Lottia tenuisculpta (Patellogastropoda: Lottiidae). Venus (Journal of the Malacological Society of Japan), 83, 1-4, 111-120.