村田梢 医学部附属病院特定講師と升本英利 同特定教授、岸田晶夫 東京科学大学プロジェクト教授らの研究チームは、ブタなどの動物から採取した血管に「脱細胞化処理」と呼ばれる方法を施し、細胞成分を除去して細胞の足場(細胞外マトリクス)のみを残した脱細胞化血管を作製しました。
この脱细胞化血管に、ヒト颈笔厂细胞から作製した血管内面を覆う细胞(内皮细胞)を植え付けることで、実験室内で机能する人工血管の开発を目指しています。この技术により、体内で自ら成长?修復できる「自己成长型の血管移植片」の実现が期待されます。
本研究では、ヒトiPS細胞から誘導した内皮細胞を用い、ブタの脱細胞化血管に対する細胞の挙動を評価しました。その結果、高静水圧(High hydrostatic pressure:HHP)法と呼ばれる高圧処理によって作製された脱細胞化血管では、血管内面の表面形状が良好に維持されており、この形状が内皮細胞の接着や配列、さらに血管機能に関わる遺伝子(EphrinB2など)の活性化を促進することが明らかとなりました。
この成果は、単に细胞を除去した血管组织の再生にとどまらず、血管内面の微细な构造を活かした新しい人工血管设计につながる可能性を示しています。さらに、この内面形状を活用することで、未成熟な颈笔厂细胞の性质や机能を自在にコントロールする技术へと発展することも期待されます。
これらの技术は、より高机能かつ安全性の高い人工血管の実现に贡献するとともに、将来的には多様な再生医疗への応用が期待されます。
本研究成果は、2025年9月3日に、国際学術誌「Scientific Reports」に掲載されました。

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【书誌情报】
Mako Kobayashi, Kozue Murata, Masaya Yamamoto, Yoshihide Hashimoto, Tsuyoshi Kimura, Hidetoshi Masumoto, Akio Kishida (2025). Recellularization of decellularized vascular grafts via aligned seeding of endothelial cells derived from human iPS cells. Scientific Reports, 15, 27470.